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なってしまう。
人材育成の問題は即戦力となる人材を就学中に養成することや、企業等において既に実績のある人達の再教育と研修を行うことが、その使命と考えられている。しかし、その意義と必要性は、労働需要の拡大にともなって、地域社会の観光に対する認識と労働価値観を連動させることにあり、基本的な条件は住民あるいは県民の理解に基づくことを考えておく必要がある。
観光事業の特色は、小谷教授によれば、民間企業の営利活動の中に公的な効果を期待することにあるが、地域での雇用効果を高めることは地域の社会環境に大きく依存することになる。地域の社会環境を、観光リゾートが成立した後、充分に効果が発揮できるように整えていくことが重要である。そのために行われる多くの施策の内、行政の役割と民間の役割について考察する。

 

(2)観光企業
観光産業を形成する個々の企業では、人材確保と社内教育に課題があった。人材の確保の問題は、地域社会に対し観光産業全体を理解してもらうことからはじまると考えられる。理解してもらうための手法として、宿泊施設では、冬季に地元料金を設定して利用の促進をはかる等の方策をとったり、コンベンションや宴会などの積極的な営業活動が行われている。今後も引き続きこのような活動を通して、宿泊産業が地域の社会活動の中で融合するようにしていくことが重要である。特にコンベンションの誘致と開催は、旅行業、運輸業、宿泊業といった主要観光産業だけでなく、地域の諸産業とも密接に関連するため、観光産業の理解促進のためにも有効な手段となる。
直接人材となる学生・生徒との交流や説明会の開催等に関しては、立ち後れの感があり、今後の対応に期待される。特に観光関連の授業やコースあるいは学科を持っている高等学校、専門学校、短大、大学などとの協調体制は未整備で、観光産業界が共同で説明会や交流会を催す等の積極的な働きかけが必要である。

 

(3)地域社会
社会的な課題としては、観光産業界への理解と関心が低く、これが原因となって、実際に就職した場合に現実とのギャップを感じたり、就職する学生等の父兄がこれに反対するといった現象があった。
これら基本的な課題は、観光産業界や行政あるいは教育機関の行う施策に大きくかかわっており、それぞれの立場で啓発活動を継続していく地道な努力に依存するより方法がない状況である。

 

(4)行政
企業や教育機関における人材育成を支援する立場にある行政では、対象となる主幹事業や補助事業によって窓口が異なるという問題があった。また観光関係の教育機関へ進学しようとする場合の奨学制度や、企業の第一線で活躍している人が研修を行う場合の制度等に充分でない点がみられることも既に指摘した。
観光行政の役割は、第1段階として観光事業を円滑に地域に展開することであり、第2段階として観光効果を高度に発現させることである。沖縄県ではこれらが同時に進行している状況であり、観光行政も沖縄観光コンベンションビューローとして一元化されたものの、人材育成関連機能は依然として分散したままとなっている。
雇用効果を高める社会環境としては、観光産業や観光行政への人材育成が重要であり、その社会的必要性も充分認識されている。ラインの育成としての専門学校の認可の他、高等教育における専門コースの設定

 

 

 

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